カール・ベンツは本当に「Car」を命名したのか

巷でにわかに話題のこの記事。
「文書保存のあのマークは何なの?」の時代へ。思考が停止してしまったUIデザイン (神田 敏晶) - 個人 - Yahoo!ニュース
読む価値もない思いつきをただ書いただけのクソみたいな文章なので読む必要はないんだが、後半に出てくるこの記述が気になった。

カール・ベンツが、1885年に初めてガソリンで走る車、パテント・モートルヴァーゲンを発売する時に、使ったメタファーは歴史的な名コピーとなった。

活気的な新たなメタファーを伝える時には、古いメタファーを再定義し、アナロジーを駆使しなければならなかった。

カール・ベンツは、自動車を、これは「馬がいなくても走る馬車である」と自動車を説明した。

さらに「Cargo=荷車」 から、「go」 を取り除き、「Car=クルマ」と命名している。

Carを命名したのがカール・ベンツ?
もっと昔からありそうな気がするんだが。


ということで検索してみた。「カール・ベンツ"car""cargo"」で。
そうしたら一番上が当該記事。
次に引っかかるのがこのツイート。

Chauffeurless Car の表現おもしろい、お抱え運転手なしクルマ。 カール・ベンツはCargoからgoを取り、馬がいなくても走る馬車だと表現ラリー・ペイジは、自動運転とは言わず、お抱え運転手のいないクルマと表現

当該ツイートはこれ。
https://twitter.com/knnkanda/status/287168919398125568
で、次に関連ある検索結果として出てきたのがこれ。
「勝利のレシピ」の見つけ方〜2001年のスティーブ・ジョブズのレトリックに学ぶ - KandaNewsNetwork KNN

1885年にクルマの登場時、「これは馬のいない馬車だ(パテント・モートルヴァーゲン)」とカール・ベンツは発表した。さらにCargo(荷車)からGoをとったのが、Carの始まりだった。

全部お前じゃねえか!!!!!


いやいくらなんでも「car」の由来なんてもっとたくさんの人間が触れててもおかしくないだろ。
1人しか主張してないってどう考えてもおかしいだろ。


で、調べてみた。
「車」は英語で「car」ですね。 それはガソリンエンジンを発明したカール・ベンツ... - Yahoo!知恵袋

「車」は英語で「car」ですね。
それはガソリンエンジンを発明したカール・ベンツ(carl benz?)に由来するものなのでしょうか?

下記URLの語源辞典の‘car’の項には、日本語に直すと、以下のように書いてあります。Carl Benz とは関係ありません。

1301年、「車輪のついた乗り物」の意味で初出。語源は、フランス語ノルマンディー方言 carre ←ラテン語 carrum, carrus (複数形 carra)、原義は「ケルト式2輪戦車」 ←ガリア語 karros ←印欧祖語 *krsos ←語根*kers-「走る」

下記URLというのはこれ。
Online Etymology Dictionary

c.1300, "wheeled vehicle," from Old North French carre, from Latin carrum, carrus (plural carra), originally "two-wheeled Celtic war chariot," from Gaulish karros (cf. Welsh carr "cart, wagon," Breton karr "chariot"), from PIE *krsos, from root *kers- "to run." Extension to "automobile" is 1896. Car bomb first 1972, in reference to Northern Ireland.

wikipediaにはこんな内容の文章もある。
キャリッジ - Wikipedia

「カー(car)」という用語は「車輪のついた乗り物」という意味で、ノルマン朝フランスから14世紀に英国に渡ってきた用語である「car」が「automobile(自動車)」を指すようになったのは1896年からである[1]。carはcarriageと同語源ではあるが、carriageの略ではなくcartに相当する古語にさかのぼる。

ただしこの説明の根拠となっている英語版wikipediaの記述は現在削除されている(要出典と書かれたあと消された)。
このような文献も見つけた。
http://giappone-etrusco.rejec.net/Etym_car.pdf (pdf)

車を意味するcar は、ラテン語のcarrum が古ノルマン仏語のcarre を経て1300 年
頃に英語に入ったものである。しかし、ラテン語のさらなる語源は、馬で曳く二輪戦車
(チャリオット)を意味するゴール語karros である。ケルト語がラテン語に入った珍
しい例である。恐らくローマ軍団において戦車戦法は馴染みの薄いものだったのであろ
う。
ウェールズ語で車を意味するcarr、ブルターニュ語でチャリオットを意味するkarr、
アイルランド語で車を意味するcarr 等が類縁語である。


自動車の意味に使われ始めたのは19 世紀後半である。ロマンス諸語ではautomobile
に対応する形(伊auto, 仏autocar, ルautomobil、葡automóvel、西automóvil 等)
が広く使われている一方、機械を原義とするイタリア語のmacchina やルーマニア語
masină、ラテン語の「運ぶ」veho を語源とするフランス語のvoiture、英語のcoach に
相当するスペイン語のcoche、car に相当するポルトガル語のcarro など、多様な語が
併用されている状況である。

とのことなので「car」って言葉は中世にはすでに存在していたようだ。
それを「自動車」という意味で最初に使ったのがカール・ベンツなのかとも思ったが、そんな記述は見つからなかった。
現時点では「要出典」「独自研究」の域を出ない話のようだ。


冷静に考えてみるとドイツ人のカール・ベンツがわざわざ英語を使うんだろうかとか、ドイツで命名されたのになんでドイツでcarという言葉が使われてないのかとかいろいろ疑問はあるんだよな。
「馬がいなくても走る馬車である」ってのも蒸気自動車が誕生した1800年代前半には言われてたなんて話もあるし。
つか蒸気自動車がすでにあるのになんでガソリン自動車を馬車に例えてるんだろう。不自然じゃね?
といった感じでもう腑に落ちないことだらけなんだが、そんな腑に落ちない話を持ちだしてドヤ顔で言ってるのが「UIが古い」だからなぁ。
なんかもう読んで損したとしか思えない。
蒸気自動車の歴史が分かったりしたのは有意義だったけどな。


まあ俺の中でこの神田という男はiPadが登場した時に
https://twitter.com/knnkanda/status/11582374672

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などというアホなことをやってた守銭奴野郎というイメージしかないんだけどな。
神田敏晶、大地に立つ: やまもといちろうBLOG(ブログ)

IT業界草創期からの著名人で、あれから十余年いまだに最前線に身を置く割には最先端でも儲かってる風にも見えない男

この人、昔からイット界隈にいるんだけど何か具体的にしたとか上手く逝ってるって話を聞いたことがないんだけどな…

うわぁ……。


家入一真を拝金帽子野郎呼ばわりしている俺ですが、こっちも拝金帽子野郎呼ばわりした方がいい気がしたので二人でタッグを組んでIT銭ゲバみたいなドラマを作ればいいと思いました。


拝金

拝金