2010/10/1 auボイコットキャンペーン第一弾* - これからも、海を越えてつながろう - Yahoo!ブログ
国際オペレータ通話という海外との通話サービスが廃止され、そのために解雇された契約社員がauボイコットキャンペーンを始めたという話。
この話、実にツッコミどころが多いのでいちいちツッコんでいくことにする。
国際オペレータ通話のほとんどを廃止し新宿のオペレータ全員解雇、
そして利用者軽視の請求書有料化1ヶ月経過の2010年10月1日開始
つながりやすくても会社が残念な、auボイコットキャンペーン継続中
利用者も労働者も切り捨てる会社のケータイは使いたくない
まず、「本当に国際オペレータ通話は廃止されたのか」というところから。
国際オペレータ通話 | KDDI 国際電話は001
KDDIのオペレータが230以上の地域へ通話をおつなぎするサービスです。
全国どこからでも局番なしの0051でご利用いただけます。
実は、現在でも国際オペレータ通話はかけることができる。
では、何をもって「国際オペレータ通話のほとんどを廃止」と言っているのか。
オペレータを介した国際通話サービスの提供条件改定について | 2010年 | KDDI株式会社
KDDIは、2010年10月1日 (金) から、お客さまが国際間で通話をする際にオペレータがおつなぎする通話サービスである「国際オペレータ通話」、「ジャパンダイレクト」、「国際無線電話」の提供条件を下記のとおり改定します。
(中略)
次のとおり、取扱いサービスの一部を廃止します。
日本発信 番号通話 (注1)
国際無線電話
コレクトコール (外国払い) (注2)
日本着信 ジャパンダイレクト クレジット払い (注3)
インマルサットシステム発信コレクトコール
これらが廃止される。
廃止されると言っても
番号通話と指名通話のサービス区分はなくしますが、相手先番号のみでのお申込みも指名通話としてお取扱いします。
ということでこの辺は区分がなくなっただけと考えるのが妥当。
また、日本着信の場合でもジャパンダイレクト(海外からオペレータを介し日本語で通話できる)のコレクトコールは利用できる。
インマルサットシステム発信コレクトコールというのは国際無線電話と同じ。船舶等からの通話に利用される。
さて、結局なくなったのは何なのだろうか。
実は国際無線通話だけなのだ。
国際オペレータ通話のほとんどが廃止なんてとんでもない。ほとんどが継続されているのである。
ではなぜ「auボイコットキャンペーン」をやっているのか。
こちらを見ていただこう。
派遣ユニオンによるau解約キャンペーンの実情 - Togetterまとめ
国際オペレータの話の続き - Togetterまとめ
これは「auボイコットキャンペーン」の首謀者(とあえて書く)である丸井美穂氏のtwitterでの発言をまとめたもの。
読めば分かるのだが、彼女らは「不当解雇に対して抗議」をしている。
「就労闘争」と自ら言ってるのだからそれは明らかだ。
ここで先程のボイコットキャンペーンのサイトにある「au 解約宣言」を見てみよう。
au 解約宣言
通信弱者の切り捨てに抗議して「au」を解約します。KDDIが独占して行ってきた「国際オペレータ通話サービス」のほとんどのサービスが9/30をもって廃止されました。
その結果、高齢者の方や障害者の方などたくさんの通信弱者が切り捨てられました。世界各地で事件や災害が発生した際のいくつもの緊急連絡手段も失われました。
今後、海外にいる家族が携帯電話のつながらない場所にいるときや、会社やホテル、病院など取次ぎが必要な場所にいるとき、オペレータの支援を得て緊急連絡を取れない場合が多くなります。また、海外で足止めされた日本人が緊急に会社や家族に連絡を取れない場合が多くなります。来日中の外国人は、母国の家族にコレクトコールを掛けられない場合が多くなります。国際電話を架けるに際してオペレータの介助を必要とする高齢者や障害者など通信弱者は国際電話を架けられなくなります。
KDDIの反社会的行為によって極めて公共性の高い国際電話サービスが大幅に低下しました。
スマトラ沖地震やアイスランド火山噴火など海外で大きな事故や災害があったとき、海外と日本を繋ぐために24時間体制で奮闘してきた国際オペレータも9/30で解雇されました。
私たちは、利用者を軽視し、通信弱者を切り捨て、国際オペレータも切り捨てたKDDIに抗議し、「au」を解約します。今後、KDDIが誤った経営姿勢を改め、従前の国際オペレータ通話サービスを復活するまで「au」を使いません。友人、知人にも「au」の解約を呼びかけます。
これを読んだ人は「公共性の高いサービスの廃止に反対しているのだな」と思うかもしれない。
だが実情は「就労闘争」だ。解雇された労働者が就労を求めて行っている組合活動なのだ。
そしてこの解約宣言にも嘘が多い。
今後、海外にいる家族が携帯電話のつながらない場所にいるときや、会社やホテル、病院など取次ぎが必要な場所にいるとき、オペレータの支援を得て緊急連絡を取れない場合が多くなります。
前述のとおり、オペレータを介して電話を掛けることが可能。
また、海外で足止めされた日本人が緊急に会社や家族に連絡を取れない場合が多くなります。
ジャパンダイレクトで可能。
来日中の外国人は、母国の家族にコレクトコールを掛けられない場合が多くなります。
ホームカントリーダイレクト(自国のオペレーターを介してクレジットカードコールやコレクトコールをかけることのできる)で可能。
国際電話を架けるに際してオペレータの介助を必要とする高齢者や障害者など通信弱者は国際電話を架けられなくなります。
これも普通に可能。
全部可能。
ちなみにこの運動の大元である派遣ユニオンではこう言っている。
派遣ユニオン ブログ 国際オペレータ通話、再び廃止の危機
●「海外にいる家族が事故に巻き込まれた。病院にいるはずの家族と早く連絡を取りたい」
外出中にそんな事態が起こったら携帯電話から掛けるしかありません。
でも家族がいるはずの病院に掛けても言葉が通じないので家族の安否確認さえできません。
そんなとき国際オペレータが「指名通話」でつないでくれます。ところが、10/1以降は…
「国際電話登録をしていただいてない携帯電話や公衆電話からはおつなぎできなくなりました。
ご自宅にお帰りになってからお掛け直しください」という冷たい言葉が返ってきてしまうのです。
●「入院していた家族が亡くなった。海外にいる家族に一刻も早く知らせたい」
病院から公衆電話で海外のホテルに滞在中の家族に連絡を取ろうとして
ホテルに電話しても言葉が通じません。しかし、10/1からは、公衆電話からの指名通話もつないでもらえなくなります。
●「海外旅行中に災害に巻き込まれて空港で足止め。期日までに帰国できない。
予定通り出社できないことを会社に連絡したい」そんなとき会社にコレクトコールするわけにいかない非正規労働者もたくさんいます。
しかし、空港の公衆電話からクレジットカード払いで会社に電話しようとしても、
10/1からつないでもらえなくなります。
その結果、雇い止めなんて事態も…
●「海外旅行で買い物したら違うものが送られてきた。
頼んだ商品を送るようコレクトコールで電話したい」そんなときも、 10/1からは外国払いのコレクトコールをつないでもらえなくなります。
これもツッコミどころが多いが、まだこちらの方が事実に即している。
ただ、au解約宣言に賛同した人のうちどれだけがこの情報を目にするのか甚だ疑問である。
さて、この話の主役である丸井美穂氏とはどういう人物か。
以下に文献を示す。
【朝日】 「信頼できる大人って少ないんだもの」 職場砂漠に咲くハケンの友情…格差社会に咲いた花 小沢内閣待望論
国際電話会社で契約社員として働く丸井美穂さん(35)が、「同志」と慕う見留洋子さんは
ひと回り年上の契約社員。旅行会社の支店長まで務め、社会経験も豊富な彼女の
オペレーター業務はプロの技だ。クレーム対応も率先して引き受ける。だが上司に臆せず
直言するので会社から煙たがられ、ベテランでも時給が高いリーダー役はまわってこない。
丸井さんは「会社にいいように使われている」と気になっていた。●会社という「共通敵」
親しくなるきっかけは2年前のある事件だ。ある時、丸井さんの時給が100円上がった。
ところが上がらない同僚もいて、職場は「時給アップ組」と「据え置き組」に二分された。
会社から納得のいく説明はなく、職場に険悪な雰囲気が漂い始めた。
「同じ仕事をして給料が違うなんてヘンだ」
悶々としていた時、見留さんと休憩室で一緒になった。「時給事件」に話が及ぶと、彼女は
「自分は上がった」と打ち明け、 「おかしな話だよね。労基署に相談すべきかな?」と言った。「この人もやっぱり会社に怒ってたんだ」
なんだか勇気がわき、丸井さんは一人で労働基準監督署を訪ねた。後で報告すると、
見留さんは「私も行くよ」と応じた。会社という「共通の敵」を意識したとたん、2人の距離が
縮まった。労基署通いには職場の仲間が一人、また一人と加わり、1年後、会社が労働
条件を一方的に変え、怒った契約社員が労働組合を作るまで続いた。
東京杉並区に住む、契約社員の丸井美穂さん。お弁当を持っていくが、おかずはふりかけとうめぼしのみ。1ヶ月の給料が18万ちょっと。
丸井さんは東京大学大学院卒業。研究者になりたかったが研究職が無く就職。しかし活動中にカラダを壊して正社員になれず、現在の契約社員に。KDDIの関連会社に勤める。国際オペレーターだ。
このKDDIエボルパの契約社員がユニオンを結成し、待遇改善を求めている。
また流通業界大手は、契約社員やパートを正社員にしてライバルに打ち勝とうとする。
契約OL90日間闘争。職場改革。ワーキングプア対策。が今夜のテーマ
(中略)
新宿のKDDI。当初の丸井美穂さんらが交渉する場面が再び。「派遣ユニオン」が彼女達のバックボーン。交通費の補助や賞与の支給は無い。そこで正社員の80%の給与支給を要求している。丸井さん、久しく洋服も買っていない。時給も当初のままで上がらない。「弱いほうから削減していくのは許せない。断固戦う。」と語る。
東京・中野の居酒屋、丸井さんが同窓会に出席していた。研究者として大学に残っている同窓生と久々の飲み会。
次ぎの日は代表の丸岡典子さんとともに会社の回答を受けることに。エボルバは果たして80%の支給を飲むのか。丸岡さん「超、失望」、回答書は正社員の最も低い給料の人を基準にして、80%は既に超えていると回答書で示した。
該当のガイアの夜明け放送回はこれ。
日経スペシャル ガイアの夜明け : テレビ東京
去年、コールセンターの運営会社-KDDIエボルバの契約社員たちが、初めて時給アップなどの待遇改善を求め、「労働組合」を結成した。
この会社では現在、新人採用は週5日制、時給1350円で募集されている。一方で、何年も継続勤務し、新人とは業務の量も種類も違う、リーダー格のベテランオペレーターたちも、変わらない時給で働いている。長く働いている人ほど、「経験が賃上げに結びつかない」と不満が募っている。仕事は厳しく評価され、ミスするとすぐさま時給ダウンに。年収にして200万円ほど。都内で一人暮らしを続けるには、部屋代、光熱費、食事を極端に切り詰めないとやっていけないのが現状だ。
給料が上がらない現状を変えるにはどうすればいいのか? 労働組合を作って会社と交渉しようと考えたのが、勤務7年目の谷岡典子さん。一人で組合を作り、ミクシーなどで仲間を募った結果、200名のオペレーターのうち、27名の女性が入会した。
これまでの交渉で、組合側が「経験・業務内容に見合った時給体系にしてほしい」、「業務内容も責任も違うベテランと新人が同じ時給はおかしい」と訴えると、会社側は、「うちには定期昇給という概念はない。新人の時給は、社会の経済状況や他社との競合を勘案して、良い人材を集めるため高く設定している。新人が高い時給で入社しても、評価が悪ければ時給が下がるシステム」と説明したという。
4月からは改正パート法が施行され、賃金など処遇の差別的な取り扱いが禁止される。谷岡さんたちは、この法改正をにらみ、2月下旬、会社側に春闘の要求書を提出し、団体交渉に入った。谷岡さんたちの生き残るための闘いは続く・・・。
文献内でもかなりの矛盾(昇給の有無やリーダー格の待遇など)はあるが、それはもうツッコまない。
どうも4年ほど労働組合活動をしているようだ。
ラジオに出演したこともある。
どうもただの労働争議じゃないような気がしてならないが、これ以上は憶測でしかないので言及は避ける。
さて、あなたはこのauボイコットキャンペーン、どう思いますか?