「コミケではキングダムハーツの同人誌を頒布できない」という話は事実なのか

某所でベイマックスの同人誌を頒布したら気持ち悪いオタクが一斉に発狂して発行停止に追い込んだという話を見まして。
今までも「ディズニーは本当に同人誌を目の敵にしているのか」という疑問が湧いていたのですが、それに関連して「キングダムハーツの同人誌はコミケに出せない」という話を聞きまして。
キングダムハーツとは (キングダムハーツとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

なお、コミックマーケットでは自主的に同人誌の販売を禁止している。

RPG大辞典倉庫Lv5 キングダムハーツシリーズ

●きんぐだむはーつのどうじんし【キングダムハーツの同人誌】
・・・存在しない。

というのは言いすぎだが、見たことのある人はほぼいないはず。
これは著作権・肖像権に関して世界最恐と呼ばれるディズニーに配慮し、
日本同人誌印刷業組合が先手を打って「KHの同人誌は印刷を断りましょうね」と示し合わせたからである。
また、コミケなどの大手同人誌即売会でもKHの同人誌を出すことは禁止されている。
これは日本の同人界としてはまったく異例のことである。
さすがはディズニー、子供の落書きでも訴えてくる会社は格が違うぜ。

一応抜け道はあるが、万が一発覚して訴えられたりしたら泣くのは自分である。
自重という言葉を知ろう。

キングダム ハーツ シリーズ - Wikipedia

ディズニーキャラはもちろんのこと、本シリーズのオリジナルキャラクターの権利もディズニーに帰属している。そのためコミックマーケットなどの同人誌業界は、著作権に対する厳格性で知られるディズニーに配慮し(実際、以前からサークル参加案内にはディズニーキャラクターを題材にした同人誌の発行を禁じる注意書きが存在している)、キングダム ハーツを題材とした同人誌の発行自粛、印刷請負の自粛を作家、印刷業者に呼びかけた。ただしFFキャラはその限りではなく、本シリーズのバージョンでも権利はスクウェア・エニックスに帰属している。

同人誌印刷所 - Wikipedia

スクウェア・エニックスとディズニーのコラボレーション作品『キングダム ハーツ』が発売されるとき、「キングダムハーツの同人誌は引き受けないようにしましょう」という内容のFAXが全国の同人誌印刷所に流されたことがある。

同人誌総研レポート

◆「キングダムハーツ」についての日本同人誌印刷業組合の対応について。
 既にあちこちで話題になっているが、4月11日付けで、同人誌印刷業組合からの「緊急のお知らせ」が各印刷所にFAXにて送付されている。そのFAXの取り込み画像を一時「やげざわ印刷」が公開していたので内容を見た方も多いと思う。先日触れた、ブロスやコーシン印刷の対応は、この文章を受けてのものだ。コーシンのメールもトンデモだったが、元々のこの文章も結構アレな内容だ。特に文章のまとめで記された「触らぬ神に祟りなし」という文面には呆れてしまった。この文書は、組合が理事長名で発行する文書であり、加えて「緊急のお知らせ」ということで組合員以外の印刷所に対しても送られている(だから、やげざわ印刷がFAXをもらっているわけ)。つまり、組合としての正式な文書なのだが、この文章を読むととても正式文書に耐えうる文章ではない。ただでさえ、著作権に関わる微妙な問題をはらんでいる以上、もっと内容・表現・伝達方法ともに繊細な注意払ってほしいものである。同人誌の印刷を断るという判断は、それはそれでリスク回避として理解できないわけではないが、そのやり方としてはあまりにも稚拙だ。だいたい、やげざわ印刷にこんなFAXを送ったら、よろこんで公開するに決まってるじゃないか(笑)。
 今回の判断は、ある同人誌の印刷を断るということは、ある表現の発表の手段を奪うことに繋がるという覚悟の上での冷静な対応とはとても思えない。この安易さは、「危なそうなモノ」、「問題の起こりそうなモノ」があれば、簡単にそれを排除していくことになっていくのではないか、危惧せざるを得ない。

まあ馬鹿のオタクが好きな自主規制とやらで出せなくなってるみたいな感じなんです。


ですが。


去年の夏コミのスタッフの一言にこんなのがありまして。
コミックマーケット86 スタッフからの一言コーナー

キャラの名前だけ書いてゲームのタイトルを書かない方がたまにいます。例えば「ティーダ中心」と、書いただけだとFF10なのか、ディシディアなのか、キングダムハーツなのかわからないのです……。

あとちょっと前の一言にはこんなのが。
コミックマーケット79 スタッフからの一言コーナー

毎度書いていますが、頒布物概要には、「813」「悪六」等、キャラ名やCPは省略しないようにしてください。サークルカットには自由に書いてかまいません。

「813」や「悪六」はキングダムハーツに登場するキャラクター、アクセルとロクサスのこと。
あと前回のC87のカタログには陸空(リクとソラ)の同人誌を出すサークルも。
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ということでキングダムハーツの同人誌、数は少ないけど普通に出てます。



でですね。
このアクセルとかロクサスとかリクとかソラとかって、キングダムハーツのキャラクターなんですよ。
わかります? キングダムハーツのキャラクターなんです。
キングダムハーツに出てくる他作品のキャラクターではなく、キングダムハーツのキャラクターなんです。


ちょっと上のほう読んでみましょうか。

ディズニーキャラはもちろんのこと、本シリーズのオリジナルキャラクターの権利もディズニーに帰属している。そのためコミックマーケットなどの同人誌業界は、著作権に対する厳格性で知られるディズニーに配慮し(実際、以前からサークル参加案内にはディズニーキャラクターを題材にした同人誌の発行を禁じる注意書きが存在している)、キングダム ハーツを題材とした同人誌の発行自粛、印刷請負の自粛を作家、印刷業者に呼びかけた。

本シリーズのオリジナルキャラクターの権利もディズニーに帰属

つまり「ディズニーが権利を持つキャラクター」の同人誌がコミケで頒布されているわけです。
矛盾してない?
まあ「オリジナルキャラクターの権利もディズニーに帰属」というのが間違いの可能性もありますが、そうだとすると今度はディズニーに配慮という理由が矛盾してきます。
つまりこの話はどう考えても成立しない話なのです。


また、こんな話もあります。2007年です。
文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会 | 第5回 | 議事録

先年亡くなったこのコミケの創始者とも言える米沢代表が生前におっしゃっていたことですが,「キングダムハーツ」という作品がございます。これはゲームですが,スクエアさん,現スクエアエニックスさんの「ファイナルファンタジー」などのゲームとブエナ・ビスタさん,ディズニーさんのキャラクターを組み合わせて作った新しいコンテンツですが,これが出た途端,ブエナ・ビスタさんつまりディズニーさんは著作管理に厳しいぞという意見が流れて,スクエニさんのこのゲーム「ファイナルファンタジー」のキャラクターを使った同人誌が激減したと。つまり,それはイコール「キングダムハーツ」のキャラクターでもあるので,「キングダムハーツ」の保護の内側で何かが言われるかもしれないと思って,そもそも同人作家がそれを利用するのをやめてしまったことがあって,こういう萎縮効果については,非常に強く懸念する部分があります。


ということで多分キチガイオタクがディズニーという幻想に勝手にションベンちびって勝手に自主規制しているという表現の自由からは程遠い話だということで間違いないと思います。
違ったら謝る。


あと、ディズニーが同人ゲームの作者を訴えたという話が話題になったことがありますが、あれもでっち上げでした。
ディズニーからの“賠償金要求メール”は偽物だった 同人ゲーム作者が詳細語る - はてなニュース

コトハさんが連絡を取ったディズニー関係者は「この件に関して一切ノータッチだ」と返答したそうです。

ミッキーマウスっぽい何かの首がはねられるゲームに対してすら(少なくともその時点では)ノータッチだったということで、普通の同人誌でビクビクしてるキモオタは自意識過剰と思ったりしないでもないですね。
あと、アメリカで訴訟が起こされたという話もありますが、実際は
ReadMe!Girls!の日記・雑記: ディズニーに訴えられた男

1970年代にミッキーをはじめディズニーのキャラを無断で使用し、同人誌(アンダーグラウンドコミック)を描き続けた男。
はじめ、ディズニーはこれに関してはまったくノーリアクション。見て見ぬふりで容認していました。

ところが、友人らとミッキーを使ったエログロ同人誌「Mickey Mouse Meets the Air Pirates」を創刊し、それをディズニーの重役会議におくりつけるというトンデモないことをします。(重役メンバーの息子経由のようですが)
これによって無視できなくなったディズニーが彼(と、そのメンバー)を訴えますが、オニールは無視し続けマンガを描き続けます。
反抗のための反抗、カウンターカルチャー全盛の時代らしく、とにかくオニールは挑戦的だったために訴訟は泥沼化し、ついには200,000ドル近い賠償金にまでふくれあがることとなります。
そして最終的には「今後一切ディズニーの著作権を侵害しない」という条件でディズニーが賠償請求をとりさげることで決着。
この顛末の要約はAir_Pirates(wikipedia)
さらに詳しいやりとりはDisney's War Against the Countercultureに。

今だと現代アートとか言ってる似非文化人がやりそうな話ですね。
現物を送るなというのはジャニーズ同人界隈で顕著な姿勢ですが、それとも通ずるものがあるかもしれません。


ちなみに同じサイトに有名なプールの絵事件の話などもあります。
ReadMe!Girls!の日記・雑記: 「封印されたミッキーマウス」を読みました


話は戻りますが、日本同人誌印刷業組合というところがキングダムハーツの件についてこんな見解を出してまして。
日本同人誌印刷業組合

親告罪というのは、著作権所有者がその権利を主張しない限り成立しない法律です。本来「緩さ」や「曖昧さ」で成り立ってきた日本の風土のなかで、慣例的に比較的ゆるやかに解釈され、行使されてきたこの法律も、物事の解釈に「白と黒」といった、はっきりとした解釈を求めがちであり、また、訴訟社会が常となっているアメリカ的な価値観のなかでは通用しにくいと思われます。

これまでの過程からして、ディズニー社は非常に著作権商標権に厳しい会社です。今回の「キングダムハーツ」に関しましても、共同開発の立場から、ディズニー以外のキャラクター、ゲームタイトル等にも、著作権ないしは商標権に関する管理が、他の日本作品と比較した場合、よりアメリカ的基準の枠組みで運用されるのではないかと思われます。

我々日本から多くの「まんが」や「アニメ」が、世界に向けて配信される一方で、欧米を始めとする世界各地から多くの文化を輸入している今日、「グローバルスタンダード」(汎地球基準)という枠組みの中で、日本的な「緩さ」「曖昧さ」といった価値観で成り立ってきた文化と、欧米的な「白か黒か」といった価値観で成り立ってきた文化の間に、微妙なゆらぎが生じてきたことを我々は認識しつつ、また、そのことによって、昨日までの価値観が今日の価値観でなくなってきているのかもしれないということを、充分に認識してゆく必要があるでしょう。

2002年時点での見解が未だにトップページからリンクされてるのもアレですが、この見解自体も「通用しにくいと思われます」「ではないかと思われます」というお前らの想像じゃねえか感あふれる記述に終始しており、お前らがそんな対応だからおかしな自粛論が出まわるんだと思わずにはいられないですね。
とりあえず「昨日までの価値観が今日の価値観でなくなってきているのかもしれないということを、充分に認識してゆく必要がある」のなら新たな見解を出したほうが良くないですか。
アメリカ的な価値観の元、アメリカ企業の著作物の同人誌がバンバン出回ってるご時世ですし。


最後に諸外国のディズニー二次創作の自由さを見ながらお別れしましょう。
Japan expo et Comic con 2013 : WISTFUL (音楽が流れっぱなしで止まらないので注意)

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Japan expoでの光景。
Japan expoと言いながら日本では自主規制で行えないことをやっていていいですね、好感が持てます。


Finales no felices de Disney | El Fanzine

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あとはディズニーキャラクターのエロ絵などを見て終了にしましょう
Disney hentai - Google 検索


以上です。